令和に囲碁と将棋を語る

奈良県在住。囲碁はパンダネットや幽玄で6段、野狐で5段、将棋はぴよ将棋で1級程度です。

読書

【読書】「地球人よ、警戒せよ」 (創元推理文庫 638-2)

地球人よ、警戒せよ (創元推理文庫 638-2)『地球人よ、警戒せよ!』(ポール・アンダースン作、創元文庫)という短篇集がある。今も刊行されているかどうかはわからないが、なかなかの短篇集だと思う。今回はこの短篇集に収められているうちの一編「ドン・キ…

【読書】ヴァン・ヴォークト作「親愛なるペンフレンド」

ヴァン・ヴォークトの短篇集『終点:大宇宙!』 (創元推理文庫)に収められている「親愛なるペンフレンド」を紹介する。15ページくらいの短い話である。地球人と宇宙人の文通を描いた小説である。 普通の小説とは違い、手紙の文面だけから成り立っている。しか…

【読書】ボヘミアの醜聞(コナン・ドイル作『ホームズの冒険』に収録)

短篇集『シャーロック・ホームズの冒険』の第一作「ボヘミアの醜聞」(A Scandal in Bohemia)について少し書く。この作品は、ホームズ物の短編の第一作であるだけでなく、「隠された物を見つけるにはどうすればよいか?」というテーマの小説としても結構面…

【読書】「鉄の宝玉」(アシモフの短編集『黒後家蜘蛛の会 2』より)

私が昔読んでいた短篇集『黒後家蜘蛛の会2』(アイザック・アシモフ作)の中でお気に入りの作品の一つに「鉄の宝玉」というのがある。 宝石集めを楽しみにしている男がいた。彼のコレクションの中に「鉄の宝玉」というのがあった。「宝玉」とはいっても、実…

『セリヌンティウスの舟』(光文社文庫)

『セリヌンティウスの舟』(光文社文庫)を読んだ。・米村美月が自殺した。残されたのは5人の友人である。・この5人のうちの「誰か」が美月の自殺を幇助した。誰が?何の為に?・そもそも、なぜ美月は他人に自分の自殺のほう助を依頼したのか?・なぜ美月は…

「八人の戦犯」

海軍乙事件 (文春文庫)(吉村昭)という本の中に、「八人の戦犯」という話がある。日本側が裁いた戦犯の話である。そのうちの3人を取り上げている。その3人のいずれも、彼らなりの理由で部下の罪を引き受けてしまった。部下の罪とは、捕虜に対する暴力や殺人…

【読書】カーテン(クリスティ作、ハヤカワ文庫)

「カーテン」(アガサ・クリスティー、ハヤカワ文庫)を読んだ。いつかは読もう読もうと思いつつ、数十年たった。私が年を取った今、初めて読んだのだが、ポワロもヘイスティングスもまた、年を取っていた。ポワロも往年の快活さが影を潜め、ヘイスティング…

【読書】『声の網 』(角川文庫)

『声の網 』(角川文庫)という本がある。ショートショートの名手である星新一が書いた長編小説である。 星の小説には珍しく、人の呼称が「エヌ氏」のような漠然とした感じではなく、「洋二」や「黒田」のような固有名詞になっている。(他の作者の作品では当…

【読書】「人には人それぞれの長所がある」(山岡荘八「徳川家康 18」より)

山岡荘八作「徳川家康」(講談社文庫全26巻)の第18巻は「関ヶ原の巻」である。 この巻の主役は家康ともいえるし石田三成とも言える。個人的には、16巻から18巻までは徳川家康と石田三成のダブル主役と言っても良いと思う。 さて。第18巻の中に「石田草」と…

【読書】 「世界のあらゆる悩み」(アイザック・アシモフ著『停滞空間』より)

SFの大家・アシモフの短編に「世界のあらゆる悩み」という作品がある(短篇集『停滞空間』ハヤカワ文庫)。 舞台は未来の地球。世界は、マルチヴァクという超高性能のコンピューターによって運営されている。一部の人々は、その状況に満足せず、マルチヴァク…

【読書】『星野君の二塁打』(吉田甲子太郎・作)

『星野君の二塁打』(吉田甲子太郎・作)を読んでみた。ネットで全文を読むことができる。 リンク先は↓下の通り。 http://e-freetext.net/hoshinokun_niruida.txt 400字詰めの原稿用紙で10枚くらいなので、すぐに読むことができるだろう。 この話の筋書きが…

【読書】クロイドン発12時30分(クロフツ作、創元推理文庫)

クロイドン発12時30分(クロフツ作、創元推理文庫)を一読したので、コメントを残しておく。 ・読む前はクロイドンは鉄道駅かと思っていたが、実は空港だった。 ・チャールズが殺意を抱いて殺人を実行するまでに、少なからぬページが割かれている。 ・時代は…