令和に囲碁と将棋を語る

奈良県在住。囲碁はパンダネットや幽玄で6段、野狐で5段、将棋はぴよ将棋で1級程度です。

【囲碁と将棋】タイトル戦の番勝負に和服は必要か。

囲碁も将棋も日本国内では伝統的なボードゲームであるが、タイトル戦における服装は異なる。

将棋のタイトル戦は和服着用が原則で、囲碁の方は和服着用でなくてもかまわない。最近の囲碁のトップ棋士で和服着用の人は非常に少ないと思う。 

囲碁のタイトル戦で和服を着る人が減っていることについては「盤外、燃ゆ 棋士の行動学」(表谷泰彦・著、河出書房新社)という本の中に興味深い記事を見つけた。

著者の表谷氏は日本経済新聞の記者だった人で、観戦記者の経験があるのだろう。 

この本の148ページに以下のような内容が示されている。興味のある方はこの本を手にとって読んでいただきたい。 

・和服着用が囲碁界のタイトル戦で崩れ始めたきっかけは、林海峰の第一線への登場といって間違いなさそうである。 

林海峰囲碁界の頂点にたったことでスーツ対局に拍車がかかった。 

・林vs石田のトップ対決のうちに、すっかりスーツ対局が定着した。 

囲碁界で和服が嫌われた理由の一つに「将棋盤に比べると碁盤の方がだいぶ大きい」ことがあるかもしれない。 

・石を打つ際に和服の袖はかなり邪魔になるようで、和服の袖で隅の石がずれてしまう「事件」も発生している。 

・機能的に洋装の方が良いという考えが生じたのも、無理がないのかも知れない。 

囲碁の国際化により海外対局が増えたことで「今更和服でもあるまい」というムードも生じている。

 ↑上の引用文は、あくまで「表谷氏の見解」であることを付け加えておく。 

和服か洋服か。私はどちらでも良いと思うが、「重要な対局には和服を着てほしい」というファンがいるのも事実である。ネットの掲示板を読んでいると、和服着用を希望するどころか和服着用「でなければならぬ」という極端な意見もたまに見かける。 

多くの将棋ファンの反発を覚悟の上で書くが、対局において和服・洋服にこだわる必要はないと思う。つまり、

和服を着たければ和服を着る、洋服で対局したければ洋服で良い

というのが私の意見だ。 

日本将棋連盟で服装の規約があるのかどうか、私は知らないが、タイトル戦において対局者は和服着用が「習慣」あるいは「暗黙の規則」になっているようである。私はそれには少々疑問を感じている。 その理由は

普段着慣れていないものを着ると対局への集中がそがれるかも知れないから

である。 

対局者が日頃から和服を着ているのならともかく、そのような棋士は非常に少ないだろう。 重要な対局において、棋士は自分の対局に集中したいものだ。 

着付けがどうだとか、トイレで用を足すときに手間がかかるとか、歩くときに洋服とはちょっと勝手が違うとか、着替えるのが手間取るとか、そのようなことにエネルギーを使いたくないのではないかと私は思う。 

私は囲碁も将棋も好きなのでインターネット動画やテレビで対局を見ることがあるけど、和服か洋服かで対局の雰囲気が損なわれるとかを感じることはない。要するに、対局の内容及び解説や聞き手のクオリティが高ければそれで良いのである。 

念のために言っておくが、私は「対局に和服を着用するな」と述べているわけではない。「普段着慣れた服装で重要な勝負に臨めばそれで良いのではないか」と述べているのである。 

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