何年も前の『将棋世界』(2012年5月号)で「棋士が聞くプロ対談」というのが掲載されていて、村山慈明と阿部健治郎の若手棋士による対談となった。対談中、ネット将棋で阿部が以下のように述べている。
地方奨励会員にとって、ネットは有力な練習方法である(注:阿部は山形出身で、高校卒業してから東京に出てきた)が、気をつけないといけないことがある。
将棋の骨格が出来る大事な時期に早指しの癖がついてしまう上に将棋が荒くなる。
一度付いた癖は簡単には取れない。
なるほど。奨励会レベルでもそうなのか、と思った。
今はほとんど打ってないが、一時期ネット囲碁対局をよくしていたことがある。ネット対局は快適である。家にいながら碁が打てる。碁会所のタバコの煙に悩まされることはないし、マナーの悪い客に辟易することもない。『幽玄の間』だと、自分の対局を後で再現できるし。いいことずくめである。
ただ私の場合、「対面対局」の方が下手なりに一生懸命読んでいたような気がする。ネット対局は、自分の場合、勘任せ、運任せの勝負になることが多いかだろうか。もっとも、気の持ちようによって、ネットでも真剣に対局している人はたくさんいると思うけど。
阿部の言葉に戻るが、プロを目指すレベルでも、ネット対局は気をつけなければいけないということだ。我々アマチュアと違って、目ざしている高さが違うのだから当然だろう。