令和に囲碁と将棋を語る

奈良県在住。囲碁はパンダネットや幽玄で6段、野狐で4~6段、将棋はぴよ将棋で1級程度です。

【読書】ボヘミアの醜聞(コナン・ドイル作『ホームズの冒険』に収録)

短篇集『シャーロック・ホームズの冒険』の第一作「ボヘミアの醜聞」(A Scandal in Bohemia)について少し書く。

この作品は、ホームズ物の短編の第一作であるだけでなく、「隠された物を見つけるにはどうすればよいか?」というテーマの小説としても結構面白い。ただ何と言ってもこの作品を有名にしているのは、この作品に出てくる女性(アイリーン・アドラー)の存在だろう。

ホームズが心を寄せた恐らくは唯一の女性。これだけでも、この小説の値打ちがあるというものである。

別にこの作品中、ホームズがアドラーに対して愛を告白したわけではないし、「僕は彼女を愛しているんだ」とワトソンに言ったわけでもない。この作品の語り手であり書き手であるワトソンの文が素晴らしい。「ボヘミアの醜聞」は次の文で始まる。

To Sherlock Holmes she is always the woman.
シャーロック・ホームズにとって、彼女は常にあのひとであった。)




この一文は、文章にとって書き出しが如何に大事かを私に教えてくれる。そして、書き出しも大事だが、書き終わりも同じくらいに大事である。「ボヘミアの醜聞」の最後は以下のように終わる。

そしてアイリーンのことを話したり、彼女の写真のことをふれたりするときには、いつも「あのひと」という敬称を使うのである。