令和に囲碁と将棋を語る

奈良県在住。囲碁はパンダネットや幽玄で6段、野狐で4~6段、将棋はぴよ将棋で1級程度です。

【読書】「宇宙船乗組員」(ブラッドベリ作『ウは宇宙船のウ』に収録)

2012年6月5日に亡くなったレイ・ブラッドベリの短篇集『ウは宇宙船のウ』。16ある短篇のうち、どれが代表作かと言われると困る。個人的には「霧笛」「長雨」「霜と炎」あたりかなあと思うが、他の読者は別の作品を選ぶかも知れない。

今回は、「宇宙船乗組員」という話を紹介する。登場人物は3人しかいないし、20ページくらいの短さなので、読み終えるのに困ることはないだろう。

登場人物は、「ぼく」と「パパ」と「ママ」である。「ぼく」が語り手になっている。パパが宇宙船の乗組員。「ぼく」と「ママ」は地球の自宅で暮らしを送っている。

「今度の仕事が終わったら地球にずっと留まろう」と思いつつも宇宙船乗組員の仕事を辞めないパパ、「あの人はもう亡くなったのだ」と夫のことを半ば諦めたように暮らしているママ、父親にならって自分も宇宙船乗組員になりたいと思っている「ぼく」の話である。

父親は息子に言う「宇宙船乗組員にはなるな」と。なぜなら「宇宙空間に出ると地球に帰りたくなる。地球に帰っていると宇宙空間へ行きたくなる。お前にそんな生活を始めさせたくない」。

そして在るとき、父親は言う「今度家へ帰ってきたら、もうずっと家にいる」と。そして父親は宇宙に出かけていく。
・・・というお話である。なんてこともない話のようにも思えるが、「地球に残された家族」に光を当てたところ、宇宙船乗組員に「宇宙船乗組員にはなるな」と語らせているところが印象に残った。