令和に囲碁と将棋を語る

奈良県在住。囲碁はパンダネットや幽玄で6段、野狐で4~6段、将棋はぴよ将棋で1級程度です。

【読書】アシモフ「ナンバー計画」

SFの大家・アシモフの短編の中に『ナンバー計画』という作品がある。短編集『停滞空間 』(ハヤカワ文庫 SF 357)に収められている。最近再読してみたので、ちょっと紹介したい。

時は未来。何でもコンピューターがしてくれる便利な時代なのだが、技術が進みすぎて、かけ算や割り算さえコンピューターがしてくれる。

つまり四則演算を人類がちゃんとできない社会である。

あるとき。平凡な一介の技術者が紙の上で計算する技術を『発見』する。

それを知った上司がその『技術』を開発・発展させるプロジェクトを『ナンバー計画』と名付け、援助を求めて高官と掛けあい・・・というストーリーである。

技術が進みすぎて、四則演算さえおぼつかなくなった人類を風刺した作品、と昔は思っていた。

しかし再読すると、別の面で興味深いものがあった。『ナンバー計画』を説明する推進者に対し、大統領が次のように言った。

「客を相手の隠し芸には面白かろうが、他に何の役に立つと言うんだね?」


・・・何か、現代の某国の議員さんを思い出してしまった。

上のようにおっしゃる大統領に対し、プロジェクトの推進者はこう言ったのだ。

 

「生まれたての赤ん坊が何の役に立ちますか、大統領?
いまのところ、こいつは何の訳にも立ちますまいが・・・(以下略)」


結局、この大統領はこの計画推進を承認し、援助を与えることを約束した、という話である。

上の話を読んでいると、いつぞやの民主党政権の仕分け作業を思い出してしまった。

まあ、個人個人でばらつきもありそうだし。

私はただ、「今は役に立たなくても、各々の技術や学問は将来役に立ち得る。その目を摘み取ってはならない」と思うだけである。