【書籍】どこかの母親と「ボッコちゃん」(星新一作)
ある日の晩、私が本屋で働いているときのことである。
30代か40代と思われる女性が私に声をかけてきた。
女性「おにいさん、すみません」
私「いらっしゃいませ」
女性「面白い本を探してるんだけど」
私「どんな本がお好みですか?」
女性「面白い本。うちの子供が読むんだけど」
私「子どもさんはどれくらいのお年頃ですか?」
女性「中学生」
私「子どもさんはどんな本がお好みですか?」
女性「面白い本。学校へもっていって使うんだって」
(ちょっと本棚を見渡して)
私「これはどうでしょう?面白いし、短編集なので、たくさん話が入っています。読んでいけば、どれか面白い話が見つかりますよ」
女性「(本を開きもせずに)ありがとう、ありがとう」
(女性、ホッとしたようにレジに向かう)
で、私が女性に勧めたのが短編集
「ボッコちゃん」(星新一作)
である。
面白いのは面白いので、私はうそをついたわけではない。
ただ、学校の先生がどういう反応をするかはまた別の問題だが・・・。
それにしても、本屋の客にこんなに感謝されるのは珍しい。