【囲碁】十段戦・高川格vs藤沢朋斎の棋譜
【テーマ図】
↑ これは40年以上前の対局の棋譜である。第4期十段戦5番勝負第4局、黒番が挑戦者の高川格、白番が当時十段の藤沢朋斎である。
ちなみに日付は昭和40年(1965年)12月6日及び7日、場所は神奈川県鶴巻温泉「陣屋」である。
この図は、昭和の囲碁に興味のある人なら見たことがあるかもしれない。黒が19手目(▲)と打ったところである。これに対する白20が問題で、黒が一気に良くなった(というより白が一気に悪くなった)らしいのだが、白はどう打てば良かったのか、そして白は実際にどこへ打ってしまったのか。
【参考図1】
↑ 別に難しく考えることはない、白1、黒2と利かしてから白3と左辺を囲っていれば、これからの勝負だったらしい。これで左辺の白の構えは大体白地である、ということなんだろう。あとは右側の黒のまとまり具合の勝負なんだろう。ところが・・・。
【実戦図】
↑ 白は1と中央に飛び込んでいった。この手そのものが悪いのかどうかは私にはわからない。ただ、左辺経営を放り出して1と打ったのが大問題だったようだ。その後・・・
【終局図】
↑ 御覧の通りになった。つまり、黒が左辺に侵入して白地をガラガラに荒らしたあげく、生還して勝負が終わった。黒▲と打ったところで白が投了し、その瞬間に高川挑戦者が3勝1敗で十段位を獲得したのであった。
一手のゆるみが有利不利ばかりでなく勝敗に直結した一例と言えるだろう。
それにしても。この対局は2日制の対局である。持ち時間は恐らく9時間くらいだろう。考える時間は山ほどあったはず。それが、20手目で敗着を打つというのはどういう事なんだろう・・・と素人の私は考えてしまうのである。持ち時間が長ければ良い碁が打てるとは限らないということなんだろうか。
【総譜】
↓ 参考までに。下の図が本局の総譜である。93手まで、黒番中押し勝ち。なお、黒41は2-十の地点(白48の地点)である。