【読書】ヴァン・ヴォークト作「親愛なるペンフレンド」
ヴァン・ヴォークトの短篇集『終点:大宇宙!』 (創元推理文庫)に収められている「親愛なるペンフレンド」を紹介する。15ページくらいの短い話である。地球人と宇宙人の文通を描いた小説である。
普通の小説とは違い、手紙の文面だけから成り立っている。しかも宇宙人の手紙だけからなっている。その手紙の書き出しはいつも「親愛なるペンフレンド-」である。
幾通もの宇宙人からの手紙。なぜ彼は地球人との文通を求めるのか?彼が求めるものはなにか?それがこの短編のテーマである。ちょっとしたミステリーだ。最後はハッピーエンドで終わる。
宇宙人との文通はできないけれど、私は外国人と時にチャットを楽しむことがある。楽しくやっているが、彼らの顔も性別も名前も、確かなことはわからない。確かめようもない。
彼らの申告をそのまま信じるしかない。これは私だけでなく、他の多くの人も事情は同じだろう。
我々は、顔の見えない相手が正直に彼らの素性を伝えている、と信じながらコミュニケーションをとっている。相手が宇宙人であれ、地球人であれ、このことに変わりはない。