令和に囲碁と将棋を語る

奈良県在住。囲碁はパンダネットや幽玄で6段、野狐で5段、将棋はぴよ将棋で1級程度です。

【読書】星新一のショートショートを2つ紹介

私がかつて愛読した星新一ショートショートを2つ紹介する。

作品名も、収録されている本も覚えていない。でも、あらすじはちょこっと覚えている。 ]


 その1.
ある研究所に男が忍び込み、博士を脅してとある銃を盗み去った。なんでも、新型の銃らしい。この盗人はこれで人を殺そうというのだ。

この盗人、ターゲットを見つけ、狙いを定めて打った、じゃなくて撃った。そのとたん、気を失ってしまった。

気づいてみると、警察と博士の顔が。不思議がる犯人。博士いわく、「この銃は撃つと、麻酔ガスが出てきて、撃った人は気を失ってしまう。さらに、実際に弾丸は発射されず、『発射された』と犯人が思い込むしかけになっている」のだそうだ。

犯人は犯罪未遂ですみ、博士はこの銃の有効性が証明され、双方めでたしめでたし、という結末である。


 


 その2. 
あるところで、一人の男が銃のようなものを拾った。みたこともないような型の銃である。持ち主も、その銃の性能も用途もわからない。

とにかく、その男は、試し撃ちすることにして、建物に、向かって撃ってみた。

すると、建物はあっという間に崩れてしまった。なんてすごい銃だ。

その男、有頂天になって、その銃の力を見せびらかす。警察も軍隊も、その銃のあまりのすごさに手も足も出ない。その男、向かうところ敵なし。

しかしあるとき、一人の男が勇敢にも男に向かって走り寄ってきた。男はその勇敢男に向かって発砲。しかしその瞬間、その銃はばらばらになってしまった。

あとでわかったことだが、この銃は土木作業用のもので、建物を壊したり、山を削ったりするのには有効だが、人間には発砲できないのだった。




なんせ、10年以上も前に読んだ話のこと。正確な記憶ではないが、あらすじはこんなものだったはず。

さて。星新一のこの話は、星氏の想像の産物であろう。もちろん彼が上のような銃を作ったわけではない。そして21世紀の現在、ある人間または研究所が、ついにSF小説の世界のような銃を作ってしまった。まさに「想像を現代の技術が越えた」といってよいかもしれない。

ただし。星新一が上の話を書いたのは、恐らく2,30年以上前のことであろう。このようなことを、たとえ実際に作ったわけではないにしろ、小説の形で世に送り出したのは、それはそれですごいことに違いない。

実際に作った人は、もちろんえらい。ただ、ほとんどの人が創造さえしなかったことを想像して小説にすることもすごい。要するに、どちらもすごいのだ。