【読書】「マーン城の喪主」(短編集『ブラウン神父の秘密』より)
もうだいぶ前、20年以上前に買った短篇集。
収録されている作品は10個。
もっともそのうちの「ブラウン神父の秘密」と「フランボウの秘密」は序章と終章の役割を果たしているので、ミステリとしての作品は8つということになる。
この中で私のお気に入りは、「大法律家の鏡」「俳優とアリバイ」「ヴォードリーの失踪」「マーン城の喪主」だろうか。
あくまでミステリとして優れているかどうかは別であるが、先に挙げた作品は何度も読んでいるのは確かである。
「マーン城の喪主」は、とある殺人事件の真相を神父が突き止める。事件そのものの仕掛け・トリックは、いま思えば「ああ、なるほどね」というくらいのものかもしれない。
ただ、今読んでも、真相が分かった場面や、ブラウン神父が語る「『人間の慈悲』と『キリスト教の慈悲』の違い」の場面は非常に心に残る部分である。