【読書】リチャード・マシスン作「終わりの日」
私の好きな短編の一つに、リチャード・マシスン作「終わりの日」というのがある。20世紀SF〈2〉1950年代―初めの終わり (河出文庫)に収められている短編である。この作品は人類破滅モノなのにもかかわらず、妙に暖かい、そして優しい雰囲気を持った作品だ。
舞台は未来の地球。地球は巨大化した太陽に飲み込まれようとしている。残すところあと一日。最後の日を迎え、あるものは自殺し、あるものは殺し、あるものは食べ、飲み、またあるものは性の快楽にふける。
この小説の主人公リチャードもその中の一人で、とあるアパートで友人たちと騒いでいた。しかし彼は、最後の日になって、友達から離れて別のところですごす決心をした。そして彼が自動車で向かった先は・・・。
「最後の日」という極端な状況の中、それでも自分を見失わず、崩れずに人生を終えようとする少数の人間。その強さとやさしさを描いた佳作。